「まさか、うちの親が…」
ある日突然、ご家族が転倒してしまう事故は、誰にでも起こりうる可能性があります。予期せぬ事態に直面し、どうすれば良いのか戸惑う方も少なくありません。
この記事では、高齢者に多い転倒事故がどのような場所で起こりやすいのか、その原因を探り、万が一転倒事故が起きてしまった直後に必要となる介護用品、そして日頃からできる転倒予防のための住環境整備について詳しく解説します。介護保険制度を活用して転倒予防・対策用品を準備する方法もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みいただき、もしもの時に備えてください。
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高齢者の転倒事故は決して珍しいものではありません。厚生労働省の統計データを見ても、高齢者の不慮の事故の原因として常に上位に挙げられています。まずは、どのような場所で転倒が起こりやすいのか、そしてその背景にはどのような原因があるのかを知っておきましょう。
高齢者の転倒事故は、加齢による筋力低下やバランス能力の衰えが主な原因として挙げられます。特に65歳を超えると、3人に1人が年に1回以上転倒するとされており、75歳を過ぎるとそのリスクはさらに高まります。厚生労働省の調査によると、65歳以上の高齢者が転倒・転落・墜落で亡くなる数は交通事故の約4倍にものぼります。
意外かもしれませんが、転倒事故が最も多く発生する場所は、実は住み慣れた自宅の中です。特に以下の場所は注意が必要です。
・浴室: 濡れた床や滑りやすい材質、立ち座りの際の不安定さなどが原因となります。
・トイレ: 狭い空間での立ち座りや、急な体勢の変化が転倒を招くことがあります。
・階段: 段差につまずいたり、踏み外しなどが起こりやすい場所です。
・玄関: 靴の脱ぎ履き時や、上がり框(あがりかまち)での段差が危険です。
・リビング・居室: 絨毯の端に引っかかったり、床に置かれたものにつまずいたりすることがあります。
※上がり框(あがりかまち):玄関の床と室内の床の間の段差のこと。
転倒の原因は一つとは限りません。多くの場合、以下のような要因が複合的に重なって発生します。
・足腰の衰え: 加齢に伴う筋力低下やバランス感覚の低下は、歩行時の安定性を損ないます。
・病気や薬の影響: 関節の病気や神経系の病気、また服用している薬の副作用でふらつきやすくなることがあります。
・視力低下: 視力が低下すると、段差や障害物が見えにくくなり、つまずきの原因となります。
・環境要因: 照明が暗い、床が滑りやすい、コードや配線が邪魔になっている、整理整頓が行き届いていないなども転倒のリスクを高めます。
・急な動作: 急に立ち上がったり、振り返ったりする動作は、バランスを崩しやすく危険です。
もし、ご家族が転倒してしまった場合、まずは慌てずに状況を確認し、必要に応じて救急車を呼ぶなどの適切な対応を取りましょう。その後、日常生活を少しでも楽にするために、以下のような介護用品がすぐに必要になる可能性があります。
・応急処置用品(湿布、包帯など):軽度の打撲や捻挫の場合に備えて、湿布や包帯、冷却シートなどを準備しておくと安心です。
・移動補助具(車いす、歩行器など): 骨折などで一時的に歩行が困難になった場合、車いすや歩行器があると、移動の負担を軽減できます。退院時に病院から一時的に貸し出されることもありますが、自宅での生活に合わせて準備が必要になることもあります。
・生活支援用品(ポータブルトイレ、ベッド用手すりなど):骨折などで移動が困難な場合、寝室の近くにポータブルトイレを設置したり、ベッドからの起き上がりをサポートする手すりがあると便利です。
これらの用品は、一時的な使用を前提とする場合、レンタルサービスの利用も検討しましょう。
日頃から転倒を予防するために、住環境を整備することが非常に重要です。特に転倒事故が起こりやすい場所には、以下のような転倒防止用品を導入することを検討しましょう。
・滑り止めマット: 浴槽の中や洗い場に敷くことで、滑りを防ぎます。吸盤式のものが安定性が高くおすすめです。
・シャワーチェア: 座って体を洗うことで、立ちくらみやふらつきによる転倒を防ぎます。高さ調節機能や背もたれ、肘掛け付きのものを選ぶとより安全です。
・手すり: 便器の横や立ち上がりやすい場所に設置することで、立ち座りの動作を安定させます。L字型やI字型など、設置場所や使いやすい形状を選びましょう。
・補高便座(ほこうべんざ): 便座の高さを上げることで、立ち座りの際の負担を軽減します。
・ベッド用手すり: ベッドからの起き上がりや、寝返り、立ち上がりをサポートし、転倒を予防します。
・センサーライト: 夜間の移動時に足元を照らし、つまずきを防ぎます。
・ベッド用手すり: ベッドからの起き上がりや、寝返り、立ち上がりをサポートし、転倒を予防します。
・滑り止め付き玄関マット: 靴底の水分を吸収し、滑りにくくします。
・手すり: 壁に設置することで、歩行時の支えとなります。
・滑り止めワックス・マット: 床の滑りやすさを改善します。
・コードカバー: 床に這うコードをカバーし、つまずきを防ぎます。
福祉用具の導入と合わせて、住環境そのものを整備することも、転倒予防には非常に重要です。以下のポイントを見直してみましょう。
・段差の解消方法:敷居や小さな段差につまずくことが多いため、スロープを設置したり、段差をなくすように改修を検討しましょう。
・照明の配置:廊下や階段、トイレなど、夜間によく移動する場所には、明るい照明を設置しましょう。足元灯やセンサーライトも有効です。
・家具の配置の見直し:通路に物を置かない、コード類は壁に沿わせるなど、歩行の妨げになるものをなくし、広々とした空間を確保しましょう。
・手すりの設置場所:玄関、廊下、階段、浴室、トイレなど、立ち座りや移動をサポートが必要な場所に、適切な高さと形状の手すりを設置しましょう。
これらの用品は、日常の動作を安全に行うために役立ちます。転倒しやすい場所に合わせて適切な道具を選びましょう。
転倒予防や転倒後の生活をサポートする福祉用具の中には、介護保険を利用してレンタルまたは購入できるものがあります。
要介護認定を受けている方は、ケアマネジャーに相談することで、ケアプランに福祉用具のレンタルまたは購入を組み込んでもらうことができます。
車いす、歩行器(歩行車を含む)、手すり(工事を伴わないもの)、介護ベッド、床ずれ防止用具など、多くの移動補助具や生活支援用品がレンタル可能です。
ポータブルトイレ、入浴補助用具(シャワーチェア、入浴用グリップなど)、滑り止めマット、杖(医師の指示がある場合に限る)などが、購入費の補助対象となる場合があります。
介護保険を利用した場合、原則として自己負担は1割(所得に応じて2割または3割)となります。購入の場合は、年間で上限額が定められています。
介護保険を賢く活用することで、経済的な負担を抑えながら、必要な転倒予防・対策用品を準備することができます。
介護保険制度に関して、解説のページを用意していますので是非ご確認ください。
⇒【簡単解説】介護保険制度の仕組み・利用可能なサービスなど
突然の転倒事故は、ご本人だけでなく、ご家族にとっても大きな不安となるものです。しかし、日頃からの備えと、万が一の事態に備えた準備をしておくことで、その影響を最小限に抑えることができます。
この記事では、転倒事故が起こりやすい場所や原因、事故後に必要となる介護用品、そして転倒を予防するための住環境整備のポイントについて解説しました。
転倒事故に備えること、また定期的に住まいや用品を見直し、必要に応じて専門家に相談することも大切です。困ったときは、地域の介護相談窓口や「よぐGO」のような専門ショップを活用しましょう。
「よぐGO」では、転倒予防や事故後の生活を支えるための介護用品を豊富に取り揃えています。あなたやご家族の安心な毎日のために、ぜひ一度商品ラインナップをご覧ください。きっと、今すぐ役立つアイテムが見つかります。
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