パーキンソン病は、進行性の神経変性疾患であり、日常生活において様々な困難を引き起こす可能性があります。しかし、適切な介護用品を活用することで、これらの困難を軽減し、自立した生活を送ることが可能です。
この記事では、パーキンソン病の主な症状とそれに伴う困りごとを解説し、症状別に役立つ介護用品を具体的にご紹介します。初めて介護用品を選ぶ方にも分かりやすく、選び方のポイントや介護保険制度の利用方法なども解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
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パーキンソン病の主な症状は、振戦(しんせん)、筋固縮(きんこしゅく)、動作緩慢(どうさかんまん)、そして姿勢反射障害(しせいはんしゃしょうがい)などです。これらの症状は進行とともに現れ方が変化し、日常生活の様々な場面で困りごとを引き起こします。
手足などが自分の意思とは関係なく細かく震える症状で、特に安静時に見られます。細かい作業や食事の際に不便を感じることがあります。
筋肉がこわばり、動きがぎこちなくなる症状です。スムーズな動作が難しくなり、着替えや寝返りなど、日常的な動作に時間がかかることがあります。
動作がゆっくりとなり、開始するまでに時間がかかる症状です。歩き出すのが遅くなったり、立ち上がりに苦労したりすることがあります。
バランスを保つのが難しくなり、転倒しやすくなる症状です。ちょっとした段差や人混みでふらつきを感じることがあります。
これらの主要な症状以外にも、嚥下障害(えんげしょうがい:飲み込みにくさ)、便秘、睡眠障害、抑うつなど、様々な症状が現れることがあります。これらの症状に対応するためにも、適切な福祉用具の活用が重要になります。
歩行や移動に関する困りごとは、パーキンソン病の進行とともに大きくなる可能性があります。適切な福祉用具を選ぶことで、安全な移動をサポートし、活動範囲を広げることができます。
杖:軽度なバランスの不安定さや、歩行時のふらつきをサポートします。一本杖だけでなく、接地面が広く安定性の高い多点杖も選択肢となります。手の震えがある場合は、グリップが安定しているものを選ぶと良いでしょう。
歩行器: より安定した歩行をサポートします。前腕支持型歩行器は、前腕を支えることで姿勢を安定させ、動作緩慢による歩行の遅れを補うのに役立ちます。
シルバーカー: 歩行時の休憩や荷物の運搬に便利です。ブレーキ機能が付いているものを選ぶと、より安全に使用できます。
移動が困難になった場合、車いすが移動手段となります。自走式、介助式、電動式など様々な種類があり、使用する方の状態や生活環境に合わせて選びます。長距離の移動が多い場合は軽量タイプや電動式を検討するのも良いでしょう。
車いすについて気になる方はこちらの記事もご確認ください。
⇒【どこでどんな車いすがレンタルできる?利用条件もしっかり解説】
滑り止めマット: 玄関や浴室など、滑りやすい場所に設置することで、転倒のリスクを減らします。
段差解消スロープ: 屋内外の小さな段差を解消し、つまずきを防ぎます。
靴: 底が滑りにくく、足にフィットする安定した靴を選ぶことが大切です。
手の震えや握力低下は、食事や調理といった日常生活動作を困難にする場合があります。自助具(じじょぐ)と呼ばれる、これらの動作をサポートする様々な福祉用具があります。
※自助具(じじょぐ):日常生活を送る上で困難な動作を、自分自身で行えるように工夫された道具。
持ちやすい太めのグリップの箸やスプーン、フォークなどがあります。滑り止め加工がされているものも有効です。
重みのあるスプーンやフォークは、手の震えを軽減し、食べ物を口まで運びやすくします。安定感のある皿や、滑り止め付きの食器も役立ちます。
縁が高くなっている皿や、吸盤で固定できる食器は、食べ物がこぼれるのを防ぎます。ストロー付きのカップも、飲み物をこぼしにくくする工夫の一つです。
入浴や排せつは、転倒や自立性の低下のリスクが高い動作です。安全かつ安心して行えるように、適切な福祉用具を活用しましょう。
浴室用手すり: 浴槽への出入りや洗い場での立ち座りをサポートし、転倒を予防します。縦型、横型、L字型など、設置場所や身体の状態に合わせて選びます。
シャワーチェア: 座ったまま体を洗うことができ、立ちくらみやふらつきによる転倒を防ぎます。高さ調節機能や背もたれ、肘掛け付きのものなどがあります。
入浴台・浴槽内いす: 浴槽への出入りを楽にしたり、湯船の中で安定した姿勢を保ったりするのに役立ちます。
ポータブルトイレ: 寝室など、すぐに手が届く場所に設置できるため、移動の負担を軽減します。
補高便座: 便座の高さを上げることで、立ち座りの際の負担を軽減します。
トイレ用手すり: トイレでの立ち座りをサポートし、転倒を予防します。
マジックテープ式の衣類: ボタンやファスナーの操作が難しい場合に便利です。
着脱衣ヘルパー: 袖を通しにくい上着やズボンなどを楽に着脱できます。
福祉用具を選ぶ際には、いくつかの重要なポイントがあります。また、レンタルと購入のどちらが良いかは、個々の状況によって異なります。
パーキンソン病は進行性の病気であるため、その時々の症状に合わせて適切な福祉用具を選ぶことが大切です。定期的に専門家と相談し、必要に応じて見直しを行いましょう。
介護保険制度を利用することで、多くの福祉用具を自己負担を抑えてレンタルまたは購入することができます。ケアマネジャーに相談し、制度の利用について詳しく教えてもらいましょう。
介護保険制度について簡単な解説ページもご用意しています。そちらもご確認ください。
⇒【介護保険制度の仕組みや、可能なサービスなど簡単解説】
福祉用具専門相談員は、福祉用具に関する専門的な知識を持っています。身体の状態や生活環境に合わせて、最適な福祉用具の選び方や使い方についてアドバイスを受けることができます。お近くの地域包括支援センターや福祉用具事業所に相談してみましょう。実際に福祉用具を体験できるショールームなどを活用するのも良い方法です。
パーキンソン病の症状は多岐にわたり、日常生活における様々な困難を引き起こす可能性があります。しかし、適切な福祉用具を活用することで、これらの困難を軽減し、より安全で快適な生活を送ることが可能です。
この記事では、歩行・移動、食事・調理、入浴・排せつといった日常生活の場面で役立つ福祉用具を、症状別にご紹介しました。福祉用具を選ぶ際には、ご自身の症状の進行や生活環境、そして介護保険制度などの利用も考慮することが大切です。
今回ご紹介した福祉用具は、あくまで一部です。より詳細な情報や、ご自身の状態に合わせた最適な福祉用具をお探しの方は、ぜひ「よぐGO」をご覧ください。専門のスタッフが、あなたの生活をサポートする様々な福祉用具をご提案させていただきます。
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