前編では「2025年問題」の背景と、それが社会に与える影響についてお話ししました。超高齢社会がすぐそこまで迫り、漠然とした不安を感じた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、この大きな変化をただ恐れるのではなく、どう乗り越えていくか、具体的な解決策を考えることが大切です。後編となるこの記事では、特に「福祉用具」が、これからの超高齢社会で私たちの生活をいかに豊かに、そして安全にしてくれるか、その可能性を探っていきましょう。
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超高齢社会を乗り越えるための重要なキーワードが、「地域包括ケアシステム(※)」の推進です。
※地域包括ケアシステム:高齢者が住み慣れた地域で、医療、介護、生活支援、介護予防などが一体的に提供される仕組みのこと。
これは、病院や施設だけに頼るのではなく、自宅や地域社会の力を借りて、一人ひとりが自分らしい暮らしを続けられることを目指すものです。このシステムの中で、福祉用具は重要な役割を担っています。
●「予防」と「自立支援」の重要性
私たちはつい、病気になったり、介護が必要になったりしてから「どうしよう」と考えがちです。
しかし、2025年問題時代を生きる上で大切なのは、「予防」と「自立支援」です。
つまり、健康なうちから、あるいは少し体の機能が低下してきたと感じた段階から、自立した生活を維持するための備えを始めること。福祉用具は、この「予防」と「自立支援」を力強くサポートしてくれます。
では、なぜ福祉用具が必要なのでしょうか?その理由は主に以下の4つです。
1. 身体機能の低下を補い、できることを増やす
年齢とともに体の機能が衰えても、福祉用具がその不足を補ってくれます。「立ち上がりがつらい」「歩くのが不安」といった悩みを解決し、自分でできることを増やしてくれます。
2. 介護者の負担を軽減し、共倒れを防ぐ
介護は決して楽なことではありません。福祉用具をうまく活用することで、介護が必要な方だけでなく、介護するご家族の身体的・精神的な負担を大きく減らすことができます。
3. 転倒などの事故を予防し、安全性を高める
転倒は、骨折など大きなケガにつながり、寝たきりの原因になることもあります。手すりや滑りにくいマットなど、ちょっとした用具が事故を未然に防ぎ、安心な生活を守ります。
4. 自宅での生活を継続するための環境を整える
住み慣れた家で長く暮らすためには、その家に合わせた環境整備が欠かせません。福祉用具は、住宅改修と合わせて利用することで、より安全で快適な生活空間を作り出してくれます。
福祉用具にはさまざまな種類があります。ここでは、特に利用者の多い用具をいくつかご紹介しましょう。
■移動を助ける
歩行器:歩行に不安がある方のバランスを支え、転倒を予防します。
車いす:自力での移動が難しい方の外出や生活をサポートします。
電動カート:屋外での長距離移動を楽にしてくれます。
段差解消機:玄関や室内の段差をなくし、車いすでの移動をスムーズにします。
■入浴・排泄を助ける
シャワーチェア:お風呂場での転倒を予防し、安全に体を洗えます。
ポータブルトイレ(※持ち運び可能な簡易トイレ):寝室など、好きな場所に置いて使用できるため、夜間の移動が困難な方でも安心です。
入浴用リフト:浴槽への出入りをサポートし、介護者の負担も軽減します。
■ベッド周り
電動ベッド:背上げや足上げの機能があり、立ち上がりや寝起きを楽にします。
手すり:ベッドからの立ち上がりを補助し、転倒を予防します。
体位変換器:寝たきりの方の体位を変える際に、身体の負担を減らします。
これらはほんの一部です。福祉用具は、一人ひとりの身体状況や生活環境に合わせて、最適なものが選べます。
「たくさんの用具の中から、どれを選べばいいかわからない…」そう思う方も多いでしょう。そんなときに頼りになるのが、私たち「福祉用具専門相談員」です。
専門家としての価値と相談するメリット
私たちは、単にモノを売るのではなく、利用者の身体状況や生活環境、介護者の状況などを細かくヒアリングし、その方に最適な用具を提案する専門家です。介護保険のサービスを利用する方法や、レンタル・購入のどちらがお得かといったアドバイスも行います。
福祉用具専門相談員は、皆さんの「こうしたい」という気持ちを大切にし、できる限り自立した生活をサポートする存在です。不安なことや気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
2025年問題について、今からできる備えはたくさんあります。
情報収集:介護保険制度や地域の支援サービスについて、少しずつ知識を増やしておきましょう。
健康寿命の延伸:日々の運動やバランスの取れた食生活を心がけ、健康な体を維持することが何よりの備えになります。
家族との話し合い:将来の生活について、ご家族とオープンに話し合ってみましょう。
福祉用具への理解:どんな用具があるか、早いうちから知っておくことで、いざというときに慌てずに済みます。
2025年問題は、社会全体で乗り越えるべき大きな課題です。福祉用具は、その解決に欠かせない重要なカギとなります。
不安だけでなく、未来をより豊かにするためのチャンスと捉え、福祉用具を積極的に活用してみませんか?私たち福祉用具専門相談員は、皆さんの「自分らしい暮らし」を支えるために、いつでもお手伝いさせていただきます。どうぞお気軽にご相談ください。
介護用品をもっと詳しく知りたい方は、ぜひ「よぐGO」サイトもご覧ください
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